さて、先日グラベルバイクのタイヤを40c→45cにしたら、めちゃくちゃ振動吸収性が良くなって驚きました。たった5mmの差ですが、サスペンション効果の伸びが非常に大きい。これは一体どういうことなのでしょうか?タイヤのエアボリュームってそんなに変わるものなのでしょうか?
タイヤ幅ごとのエアボリュームってどれくらい??太いタイヤだと、てきめんに楽になる現象を考察しよう!
ということでタイヤの幅ごとにエアボリュームがどれくらい変わるのか計算してみたいと思います。
※以下、計算結果があっているかは不明ですけど
前提条件としてはこのようにします。
- クリンチャーの場合、タイヤの厚み2.1mmチューブの厚み0.9mmとして計算
- チューブレスの場合、タイヤの厚み2.1mmとして計算
エアボリュームの計算式を考えよう
さて、タイヤのエアボリュームってどのようにすれば計算できるでしょうか?空気の入っているチューブは、タイヤの幅の円筒になっていると考えられます。
つまり、エアボリューム=「タイヤの幅を直径とする円筒の面積」×「円筒の長さ」
ここで
円筒の長さ=(リム周長+タイヤ周長)÷2
ですので式は、
エアボリューム=(タイヤの幅÷2-タイヤの厚み-チューブの厚み)^2×3.14×(タイヤの周長+リムの周長)÷2
となります。
タイヤ幅ごとのエアボリューム・クリンチャータイヤの場合
まずはクリンチャータイヤの場合、最初に書いたようにタイヤの厚さ2.1mm、0.9mmのチューブが入っているとして計算すると、
- 23c 460cc
- 25c 576cc
- 28c 776cc
ペットボトル1本分程度の体積がありますね。但し、空気圧が6~8気圧などと高くなるので、実際はこの6~8倍の空気が押し込められているわけです。
タイヤ幅ごとのエアボリューム・チューブレスタイヤの場合
チューブレスタイヤの場合、チューブがない分体積が増えます。
- 25c 690cc
- 28c 908cc
- 30c 1070cc
- 35c 1536cc
- 40c 2091cc
- 45c 2736cc
- 29×2.1 4132cc(54-622)
- 29×2.3 5234cc(60-622)
30cのチューブレスで1リットルくらい、40cだと2リットル、45cで3リットル弱(47cで約3リットル)、2.1インチ(=54mm)だと4リットル、2.3インチ(=60mm)だと5リットルにもなります。MTBタイヤの空気の体積が非常に大きいことが分かります。
冒頭で、40c(2091cc)→45c(2736cc)で驚いたと書きましたが、この場合の体積は 645cc 増えています。これって、クリンチャーの25cをチューブレスの32cに変えたのと同じくらいの増加量。確かにびっくりするはずです。
当たり前ですけど、同じ5mmのサイズアップでも、太いタイヤから5mmサイズアップするほうが、エアボリュームの増加量が大きいわけです。
※補足:フックレスリムでリム内幅が変わる場合はどうなるのか?
ところで、フックレスリム×チューブレスでリム幅が太い場合はどうなるのでしょうか?当然ながらリム幅が太いほうがエアボリュームは増えますね。
空気を保持する円柱の直径、つまり想定されるタイヤ幅って、(タイヤのケーシング幅+リム内幅)/3.14
で計算できそう。つまり
エアボリューム=(((ケーシング幅+リム内幅)/3.14/2)-タイヤの厚み)^2×(タイヤの周長+リムの周長)/2
GP5000sTR 25cを想定し、ケーシング幅65mmの場合
- リム幅 タイヤ幅 タイヤ容積
- 15mm 25.4mm 723cc
- 19mm 26.7mm 813cc
- 25mm 28.6mm 960cc
powercup TLR 28c ケーシング幅74mmの場合
- リム幅 タイヤ幅
- 15mm 28.3mm 935cc
- 19mm 29.6mm 1038cc
- 25mm 31.5mm 1203cc
確かにリムが太いと同じタイヤでも太さ&エアボリュームでは絶対的に有利。
で、実際にpowercup28cを23mmのリムに嵌めた時のタイヤ幅は、最初30.4mm。使っているうちに31.5mmへ伸びました。多分ケーシングが2mmほど伸びたんでしょう。で、今回測定してみると、確かにケーシング幅は76~77mmと2~3mm伸びていました。
やっぱり太いタイヤはめちゃくちゃエアボリュームがある、サスペンション効果でのエネルギーロス削減はどれくらいか
40cでも十分太いから、45cにしてそんなにメリットあるの??って思っていましたが、それこそただの思いこみでした。試しに履いてみたら砂利道で超快適。エアボリュームが645ccも増えたらそりゃ快適になる。
で、どれくらいのワット数が楽になるのか考えるのに、下の写真の様なライトな砂利道を想定してみる。(パワーメーターで測れば一発なんでしょうけど、持ってないですし。)
このような路面で上下方向に3mmの微振動を、タイヤが毎秒10回軽減したとすると(ライダー65kgとバイク10kgを合わせて75kgとする。)
10回分の位置エネルギーだけで、E=9.8×75×0.003×10=22.05J(ジュール)
少なくとも 22.05wのパワーロスを削減していることになる、そりゃあ楽になるわけです。もちろん速度が上がれば振動回数はもっと増えるから、削減できるパワーロスはもっと大きくなる。
仮にわずか1mmの振動を10回軽減したとしても7.35wなので、ほんの少し悪いだけの路面でも、太いタイヤのほうが有利なことが多そうですね。
ということで、50cや52cにまで興味が出てきました。
オールロードにはグラベルキングRの35cもいいかもと思う
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