レインウェアで蒸れてしまう場合って、ウェアの持つ透湿性能を超えた発汗をしている可能性があります。また、そうでなくても折角の透湿性能そのものをスポイルしてしまっているケースも多いと思います。高性能なレインウェアでも、蒸れずにレインウェアを着るためには、注意しなければならないポイントがあります。
レインウェアで蒸れないために!蒸れずにレインウェアを着るための対策について
まずは、レインウェアの透湿性能ってどれくらいなのか?考えてみましょう。これを超えてしまう運動強度の場合、必ず蒸れてしまうことになります。
レインウェアが一時間に放出できる水蒸気量はどれくらい?
例えば、私の持っているゴアテックスのレインウェア・モンベルのレインダンサーの場合、透湿性能は 25,000g/m²・24hrs。

レインウェアを平置きにした時60cm✕70cmくらいに見えるので、表面積は
0.6(m)✕0.7(m)✕2(表と裏の分)=0.84m²
一時間あたりにレインウェアが透湿できる水蒸気の量は
25000(g)✕0.84(m²)/24(h)=875g/h

ということで、理想的な条件なら、1時間に875gの水蒸気を放出することが出来ることが分かりました。
登山の際の発汗量についてはファイントラックのページが参考になります。

60kgの人が登山すると一時間で300mlの発汗が目安とのこと。ですので、登山なら適切な対策をすればレインダンサーで十分な性能があるはず。
もちろん、気温が高かったり、運動強度が高いと更に汗をかくでしょう。ポカリスエットのホームページでは、26度の気温でサッカーの試合(90分)をしたときに汗は2リットル、30度で1時間剣道をしたら2.7リットルの汗が出るとあります。

ちなみに最高性能のウェアだとどれくらい透湿するか?というと、例えばゴアテックスの最高性能のゴアテックスシェイクドライは80,000g/m²・24hrsの透湿性能があるので、約2800gの水蒸気を透湿できることになります。
流石のシェイクドライでも、剣道をすると透湿しきるのは厳しそうですね。
透湿性の高いレインウェアへの変化。ドライテックのウェアからゴアテックスのウェアに変えたら感動した
ところで、このレインダンサーを購入した時、あまりの快適さ、サラサラの蒸れなさに私は感動したわけです。
ちなみにその前に使っていたのはブリーズドライテックのウェア。透湿性能は15,000g/24h。一時間の透湿性能は525gほどになる。これだと、透湿性能が足りなかったのでしょう。登山中、ウェアの中はビチョビチョになってしまっていました。

目安としては25000g/m²というのは、登山レベルであれば、ウェアが汚れたりして透湿性能が少し落ちても蒸れないでいられる丁度いいラインではないかと思います。
では、レインウェアで蒸れてしまう場合、汗対策はどうすればいいのか?
つまり、蒸れないための第一歩は「透湿性能を超えない発汗量にする」こと。基本的に多く汗をかかないレイヤリングにすることが大切です。そもそも、「汗」って体温を下げるために出ている面があるので、汗をかきづらいように薄着にすると良いでしょう。

それでも汗を大量にかいてしまう状況では運動強度を下げることも有効です。
蒸れないためには、実はミドルレイヤーの選択がかなり重要!
あれ??そこまでの運動じゃないのに蒸れるよ?っていう場合。これは、ウェアの透湿性能が下がってしまっているケースが考えられます。皮脂汚れなどで透湿性は下がりますし、意外に気にしない人が多いのが、レインウェアの表面が濡れて透湿性能を発揮できていないケース。

考えてもみてください。レインウェアの表面に水がコーティングされている状況を。この状態で透湿することってできるでしょうか?ハイ、絶対に透湿できるわけがありませんね。つまり、レインウェア表面は撥水でサラサラの状態をキープすることが大切だし、内側が自分の汗で濡れる状態になっていたらそれだけで透湿性能はかなり低下しているわけです。

ですので、汗をかいた素肌の上にレインウェアは避けるべき。ミドルウェアには出来れば長袖を着て、表面に保水しづらいものを選ぶといいでしょう。

レインウェアで快適に過ごすために、ベストなミドルレイヤー
なお、これまで使った中で一番優れていたミドルウェアは、20年くらい前に売っていたナイキのACG(オールコンディションニングギア)の長袖ウェアでした。

メッシュ地にポリエステルのブロックのようなのがたくさんついている構造。

通気性が良いので暑くならない&汗をかいても表面がベチャベチャにならない&長袖、と必要な性能を全て兼ね備えています。

初めてこのウェアの上にレインウェアを着たときは、あまりの快適さに驚きました!同じレインウェアとは全く思えないほど体感性能が異なったからです。
その後同じ構造のウェアは見たことが無かったのですが、5年くらい前にノースフェイスが同じ様なウェアを発売していました。※使ったことないので快適かどうかは不明
※ノースフェイスのミドルレイヤーは多分コレ、私のウェアと同様に凹凸のグリッドが入ってる
ファイントラックにも似たようなウェアがありました。春夏秋のスリーシーズン用。

最近のサイクリングウェアで言えば、素材が吸汗性ポリエステル&ウールのこのジャージは良さそうです。

透湿性だけじゃない、雨天時の快適さに影響する要素
透湿性っていうのは雨天時の快適さの中では一部でしかない。実際の快適さに影響するのは、
- 汗で中が濡れてくるかどうか(透湿性)
- 雨で濡れたウェアが肌につくと、冷たく感じられて不快(体温を奪われないか)
- そもそも保水する肌着を着ていると全て台無し(肌表面のコンディション)
上の良いミドルレイヤーとはこれらの要素をクリアするレイヤー。
レインウェア側としても、密着を防ぐ&蒸れづらいエア容量を確保するために、少し大きめのレインウェアを選ぶのもいいかも。

快適なアンダーウェアとしては、自分が試した中では、モンベルのジオラインは薄手でも熱くなりやすいし(雪が降るような状況だとむしろ良い)、ダクロンもいまひとつ。パタゴニアのキャプリーンは妙に冷たく感じられて好きではない。クラフトは悪くない。それよりやっぱりメッシュのアンダー(OUTWET)は良かった。
また、寒いとき用のアンダーならTHARMADRYが一番お気に入り。これは蒸れづらく熱くなりすぎない、しかも柔らかく着心地がいい良アンダー。普段着もアウトドアもバッチリいけます。
それでも蒸れてしまう状況はどうすればいいの?
それでも蒸れてしまうなら、ウェアのベンチレーションを空けましょう。また、真夏で35度みたいな状況で汗を止めるのは無理。そもそも汗って体を冷やすために出ているので、むしろ裸で雨にあたって体を冷やすのが一番良いでしょう!

裸はマズイということで、対策したいなら水冷ベストですかね。水を凍らせて真夏の農作業に運用している人がいます。
涼しい季節でもどうしても登りだけ汗だくになってしまう、みたいな状況だと、背中にタオルを入れておいて、汗をかいたらそれを抜き取ってしまえばOKですね。(いっそ着替えちゃうのも手かも)
まとめ:レインウェアで蒸れない対策は発汗を抑えられる涼しい状況なら可能!ウェア表面の状態にも注意
そもそも外気よりも蒸れない状況にはならないし、限界はあるけど、発汗量を抑えるように行動すれば、それなりに不快にならない状態を作ることができる。涼しくなる高山の登山ではちゃんと準備すれば対策が可能。快適さのためにはミドルレイヤーの選択も大切。
一方で相当暑い状況では、そもそも対策することが難しいかもしれない。そういう場合は一度全身ずぶ濡れになってしまえば、雨など気にならなくなる。真夏に平地を走るツーリングなどでは、レインウェアを着て蒸れるより、そういう対策の方がよっぽど楽しいでしょう。

洗濯して皮脂汚れを落として透湿性能を回復 & 撥水性能の回復、これも蒸れないために重要
自分の肌表面がベチョベチョしないことも、快適さには重要
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