ローディーの皆さんへ!
いきなりですが質問です!ここに3本のリムがあります。
- 25mmのリム(400g)
- 40mmのリム(450g)
- 60mmのリム(500g)
このなかで漕ぎが本当は軽いのはどれか分かりますか??
- ヒルクライムで本当に軽いホイールはどれなのか?リム重量から、リムの慣性モーメントを計算してみた!
- 登りが速いホイールはどれか?リムの物理学!慣性モーメントの計算式
- MAVIC(マビック)のリム
- CAMPANOLO(カンパニョーロ)のリム BORA,SHAMAL,ZONDA
- FULCRUM(フルクラム)のリム
- PRIME(プライム)のリム
- TOKEN(トーケン)のリム
- REYNOLDS(レイノルズ)のリム
- CORIMA(コリマ) チューブラーの32mmリム
- ZIPPのリム ZIPP303s DISC 45mmのフックレスリム
- この表の注意点
- 慣性モーメンメントの理論と、体感(記録)の比較
- リムの慣性モーメントの計算結果まとめ:チューブラーはやはり登坂性に特別に優れている、クリンチャーは大差ないのでエアロ効果がいるかどうか?下りの性能は必要かどうか?が重要
- タイヤとのシステム重量も注目(タイヤの慣性モーメント)
- 総括:タイヤのシステム重量まで検討して、最速を決めるべき!踏み続けられるかは、ホイール剛性×フレーム剛性も影響するのでやっぱりホイールは面白い!
ヒルクライムで本当に軽いホイールはどれなのか?リム重量から、リムの慣性モーメントを計算してみた!
いやコレ私も分からないんですよね。ヒルクライムだと外周部が軽いほうが有利といわれますが、リムが重いはずのディープリムでも軽く登れるホイールが存在します。

もちろん剛性も影響しますが、参考までに、加速時の必要ワット数に影響する、リムの慣性モーメントを計算してみることにしました。
登りが速いホイールはどれか?リムの物理学!慣性モーメントの計算式
もうタイトルからしてイヤな感じですけど、まぁ計算は簡単です。
慣性モーメント=1/8×リムの質量×(リムの外径^2+リムの内径^2)
ということで各種リムを計算していってみましょう!因みにリムの外径は、635mmとします。まずは、計算例として、コスミックプロカーボンUSTでやってみましょう。

リムハイト40mm、リム重量450gなので、計算結果は単位はg・m×mで、42.595
リムは2つあるので、2倍して85.19g・m×m となります。
この数字が小さいほど、回転させるパワーが少なくて済みます。逆に大きいと失速感が少ないホイールになります。
ということで、いきなり計算結果を並べていきます!
MAVIC(マビック)のリム
40mm 450g 85.19 コスミックプロカーボンust
25mm 405g 78.50 キシリウムプロカーボンust
↑ 要リムテープです(^^; 片輪20gのテープで数値的には(両輪で) +2 して考えてください

- 22mm 400g 38.95 キシリウムプロUST&キシリウムエリートUST フロント
- 25mm 420g 40.70 キシリウムプロUST&キシリウムエリートUST リア
合計 79.65 キシリウムプロUST&キシリウムエリートUST
↑ これでリムテープ(片輪20g位)いらないのだからアルミリムでは優秀です!特に手持って回すと、明らかにリアの回転がシャマルより軽いのが分かります。

CAMPANOLO(カンパニョーロ)のリム BORA,SHAMAL,ZONDA
まずは本命のBORAクリンチャーから行きましょう!

35mm 420g 80.14 BORA ONE 35クリンチャー
50mm 455g 84.79 BORA ONE 50クリンチャー
やはりBORA35の登坂性は優秀!リムテープも不要ですし。

- 30mm 465g 44.71 シャマル2wayfit c15 リア
- 26mm 425g 41.12 シャマル2wayfit c15 フロント
合計 85.83 シャマルウルトラ2wayfit c15 前後
手にもって回すと、リアはコスミックプロカーボンUSTより重いです。計算通りです(笑)フロントは軽いんですけどね。
きっと、今のワイドリムのレーゼロ(WOリム)も同じ位でしょう。

45mm 460g 86.40 BORA WTO 45
↑ シャマルより明確に良いと感じたのは「エアロ効果」と「剛性」、ワイドリムによる「振動吸収性」分も大きいということですね。登坂性はBORA35に劣るはず。
またピュアチューブレスとして使えば、シーラントが片輪30g位不要なのも大きい。ピュアチューブレスのラインナップが減ってきてしまっているので、IRCの新しい FORMULA 25c 270gが一番の候補。その次に旧シュワルベプロワン25cの当たり(シーラントがほぼ不要で260g位、シーラントを15ccだけ入れる)を引くこと(笑)
カンパ系はリムテープが要らない点も重要ポイントです

35mm 325g 62.01 BORA35チューブラー
50mm 365g 68.02 BORA50チューブラー
↑ やはりチューブラーは頭一つ抜けてます
FULCRUM(フルクラム)のリム
40mm 435g 82.35 SPEED 40C(クリンチャー)
40mm 335g 63.42 SPEED 40T(チューブラー)
↑ 流石、評判が良いだけあります!クリンチャー派なら SPEEED40C や BORAONE35 は良い選択になりますね。
PRIME(プライム)のリム
38mm 440g 83.56 BLACKEDITION 38 lightweightモデル

50mm 525g 97.83 BLACKEDITION50 ノーマルモデル
30mm 440g 84.61 PRIMEアタッカー
↑ 2020年度版の新しいBLACK EDITION (38mm) はかなり良いです。古い50mmはやはり登坂は少し苦手。プライムアタッカーならシャマル、レーゼロと勝負できますね(要別途リムテープ)
TOKEN(トーケン)のリム
45mm 490g 92.03 R45
低価格のカーボンクリンチャーはこの辺りが目安でしょう。流石に登りは少し重さを感じそう。

REYNOLDS(レイノルズ)のリム
29mm 385g 74.03 レイノルズアタック・チューブレスレディ AR29も同じですね
↑これは超優秀!リムが軽すぎます!
CORIMA(コリマ) チューブラーの32mmリム

32mm 290g 55.59 コリマS1のリム(製造中止)
↑ ツールでニーバリが勝った時のリムです、これだけ軽すぎ!!(ナローリム時代の物です) チューブラーはリムセメントが必要ですが、リムテープは要らないのでその辺も良いところですね。
32m 330g 63.26 コリマWS(ワイドリムの現行品)
ZIPPのリム ZIPP303s DISC 45mmのフックレスリム
フックレスリムである ZIPP303s DISC のリム重量は予想ですが440g程度でしょう。リムハイトは45mmでファットリムであることを考えるとやはり軽い!
45mm 440g 82.64

雑誌の評価では、登坂性はそこまで高くありませんでしたが、Jベンドスポークにありがちなモッサリ感(足当たりがよいともいう)で評価されている感じがあります。キシリウムエリートも軽いホイールですが、剛性の高いホイールの後に乗ると、モッサリ感じてしまうところがありますので。実際は軽いホイールです。
ZIPP 303 Firecrest Tubeless Discのフックレスリムは420gと予想されます。旧303NSWは480gでしたので。
40mm 420g 79.51
フックレス化したことで超軽量化。BORA ONE35より登れるホイールになっているのかもしれません。
この表の注意点
注意して欲しい点は、リムテープの有無で重量が変わる点、それからあくまでリムだけの数字なので、ニップル(アルミか真鍮か)やスポークまでは考慮していないということです。(例えばコスミックカーボンのSLとノンSLはこのあたりが若干異なります)
またスポークの影響も考えていないので、スポーク長が短くなるディープリムは、実際にはもう少し有利です。
慣性モーメンメントの理論と、体感(記録)の比較
私の体感的にも、剛性が低めで出足は鋭くないキシリウムエリートで激坂の自己記録を更新、平坦では BORA WTO45 が記録を出しているので、両方ともに理論通りです。
仮に慣性モーメントが同じホイール同士なら、平地と下りはリムハイトが高く、ワイドリムの方が速く走れるので有利です。

リムの慣性モーメントの計算結果まとめ:チューブラーはやはり登坂性に特別に優れている、クリンチャーは大差ないのでエアロ効果がいるかどうか?下りの性能は必要かどうか?が重要
結論としては、アルミクリンチャーのローエンドとハイエンドは明確に違いが出ます。が、ハッキリ言って、アルミハイエンドとカーボンのハイエンドでも登坂性能に大きな違いは出ません。
登坂性は、キシリウムプロカーボン、キシリウムプロUST&キシリウムエリートUST,、BORA35&SPEED40C、レイノルズアタックが良いでしょう。

ですので、カーボンディープリムにするメリットは、今のところ40kmで走った時の10W-15Wの削減、というのが本当のところです。※よくある風速4m/s程度だと、風の時速は14.4キロ。4mの向かい風なら時速26キロで走るだけでも、ディープリムは10W以上削減して超有利です!
そしてやはりチューブラーの登坂性は別次元ですね。
特にナローリム時代のコリマはおかしい性能です。
タイヤとのシステム重量も注目(タイヤの慣性モーメント)
タイヤの慣性モーメントも重要なファクターです。
- 前後ともに350gのタイヤシステム、上記に39.28をプラス
- 前後ともに300gのタイヤシステム 上記に33.67をプラス
- 前後ともに250gのタイヤシステム、上記に28.06をプラス
- 前後ともに200gのタイヤシステム 上記に22.45をプラス
例えば、シャマルに250gでシーラント不要のチューブレス(RBCCのlight23c)を付ければ合計値が113.89

プライムの新型のlightweight BLACKEDITION38にGP5000TLをつけることを想定し、リムテープ20g、シーラント30g、チューブレスレディ300gをつけると合計値が 122.84になり、上記のシャマルより登りで重いホイールになるでしょう。

もし、登り性能を重視するなら、タイヤはIRCの新型の S-LIGHT (25cで220g)が良いでしょう。シーラントの量は30ccでOK!合計250gなので、プライムのブラックエディション38ライトウェイトなら、111.62になります。理論上はシャマルより登れてエアロ性能も優秀なはずです。

また、クリンチャーならtubolito(38g)+EXTENZA R1s(145g)で183gと恐ろしい数字になります(笑)タイヤシステムの数値的には約20!
シャマルのナローリムは、色々なタイヤを試しましたが、23cのピュアチューブレス(シーラントなしでタイヤのみ245g=旧シュワルベプロワンの23c)を入れたときが一番速く感じました(登坂性能)が、やはりそれで合っているようです。
総括:タイヤのシステム重量まで検討して、最速を決めるべき!踏み続けられるかは、ホイール剛性×フレーム剛性も影響するのでやっぱりホイールは面白い!
横剛性の高いフレームに、横剛性の高いホイールを合わせると、登坂の反応は良いけど足がガチガチに削られたりします。ロングライドなどだと、踏み続けられるかどうかはかなり重要な問題。一方でレースだと、アタックについていけるだけの剛性も欲しい。そのあたりで最適ホイールが変わってくるので、人によってどれが最適なのか結論を出すのはやはり難しいです。

そして、今回の検証は、あくまでも加速性、登坂性に限った話で、しかもリムを密度が一様な理想的な円盤と仮定して計算しています。もちろん実際はそんなことはないので、この数字は鵜呑みには出来ません。しかし、体重があり、パワーのある人(慣性力を活かせる人)や平坦重視の人は、数字が大き目でもOK、逆に体重が軽く、ヒルクライムに挑む人は、数字が小さいものが好まれる傾向があると思います。
定番のZONDAとよく言われますが、体重の軽い人は、キシリウムエリートUSTやプライムのアタッカーを買った方が幸せになれそう。
また速い人の中には、レーシングゼロより、レーシング3の方が進む感じがするという人もいます。これはリムの軽さではなく、スポーク素材の剛性の問題。
ということで、やっぱりホイールはどれが合うかは難しいですね~(^^;
カーボンリムで安くて登坂性の高い、BLACKEDITION38 lightweight版
Prime – BlackEdition 38 カーボンホイールセット¥100000

リム重量が分からないけど、BLACKEDTION38より確実に登坂が楽と予想されるBLACKEDTION28 lightweight版
Prime – BlackEdition 28 カーボンホイールセット¥78500

やはり別次元のチューブラー
Campagnolo – Bora One (ボーラワン) 35 チューブラーホイールセット (2018)¥141214 – ¥200411

そして、やはり優秀な
Prime – Attaquer ロードホイールセット¥40000
レーゼロより軽いと感じる人がいても全くおかしくないです。

MAVICはこちら、キシエリ、キシリウムプロは売り切れの時が多いです・・・もし、あるとラッキーなので欲しい人はすぐに入手することをお勧めします。
タイヤ周りの軽量化に効く、IRCの新型チューブレスレディ S-LIGHT 25c (220g)と、38gのチューブ「TUBORITO」、エクステンザR1S(145g)、超軽量なブチルチューブ「フライウェイトチューブ」(51g)
チューブの軽量化も効きます
リム重量だけではなく、エアロ効果に関する記事
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