最近、アコースティックギターを試奏したのでまとめてレビューします。
- アコースティック・ギターのレビュー、HEADWAY、MAITON、KYAIRI、ASTURIUS、MORRIS、KAORUなど
- 私のギター歴とギター遍歴
- これまでに試奏したギターの印象【GIBSON(ギブソン) J-45、GIBSON L-00】ブルースやストロークにマッチするギブソンならではの音
- 【ASTRIUS(アストリアス)】はラッカー仕上げモデルECヘリンボーンの鳴りが良い
- 【MARTIN(マーティン) LX1】ちょっと凄いと思ったマーティンのスモールギター
- 【Headway(ヘッドウェイ)HD-531 SF,S-ESU/ATB】 トラディショナルではない独特のサウンドのドレッドノート
- 【HEADWAY HD-115 LEGACY/ATB】由緒正しいドレッドノート
- 【Headway(ヘッドウェイ)HF-YOZAKURA SUMMER’23 SF,S/STD】桜を木材につかった桜ギターシリーズ
- 【HEADWAY(ヘッドウェイ)のJapan Tune-upシリーズ】
- 【MARTIN(マーティン) D-X2E BRAZ】
- 【K.YAIRI(Kヤイリ) YF-00028】
- 【MAITON EBG808CTE メイトン トミー・エマニュエルモデル】
- 【Cole Clark(コールクラーク)】
- 【K.Yairi(Kヤイリ)RAG-1】
- 【MORRIS(モーリス) F-LTD II オール単板のお買い得モデル】
- 【MORRIS(モーリス) M-104BW フィンガーピッカー用モデル】
- 過去最も驚いたギターは「KAORU」ギター
- まとめ:アコースティックギターも20万円台くらいからは音って好みだと思う
アコースティック・ギターのレビュー、HEADWAY、MAITON、KYAIRI、ASTURIUS、MORRIS、KAORUなど
私のギター歴とギター遍歴
ギターの試奏レビューということなので、まず私のギター遍歴を書いておくと、家にあったクラシックギター→S YAIRI のドレッドノート(新品)→MARTIN 000-1(中古)。以上である。そんなに大量のギターを弾き込んだわけではない。

あと、ビルローレンスのテレキャスも買ったし、FENDERのベースや、TAKAMINEのオベーションみたいなラウンドバッグのエレアコがあったこともある。
演奏スタイルとしては、フィンガースタイルのソロギターしかやらない。ブルースソロ(ロバート・ジョンソン的なやつ)や、ボサノヴァをかじったことがあって、さわりだけブルーグラスとジャズを味見したことがあるくらい。大学生の頃、ソロギターはうまいと言われていたけど、最近はめっきり弾けない。
ギターの良いところはうまくなってくると、弦が指に吸い付くような感じで弾けるようになることだ。こうなると音の表情を付けられるようになって、本当に面白い。

これまでに試奏したギターの印象【GIBSON(ギブソン) J-45、GIBSON L-00】ブルースやストロークにマッチするギブソンならではの音
所持したギターは少ないが、試奏したギターは結構ある。そんな中、まずは印象に残っているギターについて書いてみる。
例えば、GIBSON(ギブソン)は J-45 や L-00 を弾いてみたことがある。ジャキジャキした強いストロークやる人で、この音が欲しい人には絶対GIBSON!ってギターだけど、自分のやるフィンガースタイルのソロギターにはもう一つ向いていない印象。むしろギブソンの旨味を引き出せない。

L-00はブルースやるならイイ感じだ。
【ASTRIUS(アストリアス)】はラッカー仕上げモデルECヘリンボーンの鳴りが良い
ASTRIUS(アストリアス)はラッカー塗装のモデルがとても良かった(現行品だと ECカスタム、当時の名称はECヘリンボーンって言って20万しない価格だった)。

下のクラスのウレタン塗装のモデルよりも音のヌケが良く、明らかにクリアで良い音になる。塗装が木の振動を妨げているのだろう。これからアストリアスを買う人にはラッカー塗装が断然おすすめだ。他のギターを試奏する際にも、塗装が厚くないかを注意すると良いだろう。本当にこれだけのことでサウンドはかなり変わってくる。ウレタン塗装のアストリアスは普通の印象だったが、ラッカー塗装のアストリアスは急に活き活きした音に感じたのだ。
キャラクター的にギブソンとは真逆で、端正に鳴る印象のギターだったと思う。
【MARTIN(マーティン) LX1】ちょっと凄いと思ったマーティンのスモールギター
MARTINのスモールギター、LX1、いわゆる「リトルマーチン」。試奏したときちょっと凄いと思った。

小さいボディなのにちゃんと鳴って、普通に弾ける。小さいギターってそれまでARIAのPEPEみたいなイメージあったけど、そんなイメージを覆されたスモールギター。結構よくて買おうかなって思った。(リトルマーチンでも、下のグレードのモデルは買おうと思わなかった)
ところで音の基準は自分がずーっと引いているMARTINの000-1(定価18万円)が基準。御茶ノ水に30万以上するような TAYLORやMARTIN などのギターを試奏しにいったことがあったけど、そんな高い値段を出すほどのギターには出合わなかった。サウンド的には今の MARTIN 000-1 から根本的にはそんなに変わらなくない??って感じ。当時よく弾いていた自分のギターが育っていたのもあるだろうし(天気さえ良ければ、非常にヌケの良い音で鳴った)、MARTINやTAYLORって定番すぎるのか実は印象に残ったモデルがない。
その後しばらく経って、再び多くの楽器を試奏する機会を得た。
【Headway(ヘッドウェイ)HD-531 SF,S-ESU/ATB】 トラディショナルではない独特のサウンドのドレッドノート
ヘッドウェイのドレッドノートタイプ。モデル末尾につくATBというのは、ASUKA TEAM BUILD(アスカチームビルド) といって、トップビルダーの数名がチームで国内で生産している、いわゆる高級モデルらしい。

これがちょっとおもしろいギターだった。弾くと音の粒が立ってキラキラ鳴る。一音一音が輪郭を保って硬めに聞こえるというか。ストロークした音が一体となった中に、ちゃんと一音一音が存在感を残している、そこが独特に感じる。低音もボワンとせずにクリア。そんなわけで音のバランスが良くてまとまりもイイ。弦に触れたときのレスポンスがめちゃくちゃよく、音の立ち上がりが早い。ネックも薄めで弾きやすい。ストロークだけでなく、アルペジオやフィンガースタイルにも超良い印象。つまりなんでも出来るオールラウンダー。
やっぱりドレッドノートタプのギターはダイナミックレンジが広い。低音に太さが有るのもいいし、高音にキラキラした艶があるのもとてもいい。そう、高音を単音で弾いても音に深みと厚みがある。こういうのはソロギターのメロディーラインを弾くのにとても良いのだ。
【HEADWAY HD-115 LEGACY/ATB】由緒正しいドレッドノート
おなじヘッドウエイのドレッドノートタイプだが、HD-115とHD-531はブレイシングが異なる。内部の木の配置が異なるらしい。

ネックも異なりHD-531はU型、HD-115はV形状かつ少しナット幅広め。で、弾いてみるとぜんぜん違う楽器なのが面白い。あくまでトラディッショナルな範疇の音(よりマーティン的な音の響き方)がするのがHD115。れっきとしたドレッドノートの普通にいいギター。カントリーやストロークをメインでやるならこっちだろう。それとは方向性が違うのが HD531。 てなわけで、楽器屋さんではブレイシング違いの楽器を弾き比べてみると、すごく意味があると思う。
【Headway(ヘッドウェイ)HF-YOZAKURA SUMMER’23 SF,S/STD】桜を木材につかった桜ギターシリーズ
ギターとしては珍しく、サイド&バックに桜の木を使ったモデル。

ローズウッドに比べると、なんだか少し音が柔らかい印象。家でリラックスしながら弾くにはこういうのはとてもいい。
桜ギターのATBラインも弾かせてもらったけど、HEADWAYのATBラインていうのは音の鳴りがとてもリッチ(硬めに感じるかも)。個人的にはドレッドノートならATBが欲しいし、このHFのような000ボディなら、リラックスして弾くことが多いからスタンダードモデルのほうが好ましいと感じた。
【HEADWAY(ヘッドウェイ)のJapan Tune-upシリーズ】
HEADWAYのJAPAN TUNEUPシリーズも実はいいと思う。何故かってやっぱりHEADWAYは安いモデルでも弾きやすかったから。ハイポジションの弦高が抑えられてる。また、高音で音が小さくなったりするなど、そういう鳴らしにくい点は見当たらなかった。全体的な音量バランスがいいと感じる。

20万以上の上位モデルに比べれば鳴りが足りないように感じるけど(価格的に当たり前なことですけど)、弾きやすさに関しては遜色が無い点が素晴らしい。
全体的に弾きやすいと手にしたくなるし、弾きづらいとつい手を伸ばさなくなる。道具だからそういうもんだと思う。むしろ、ギター始める人に超オススメできる。
【MARTIN(マーティン) D-X2E BRAZ】
これはなんていうか弾きづらい。ヘッドウェイを弾いた後だと、ハイポジションの弦高が高く感じる。でも、これはマーチンであるから、むしろ標準的なんだと思う。弦高を比べている相手の KyairiとHEADWAYを褒めるべきだ。

そしてマーチンって、普通で音的な印象が全く残っていない。それはやっぱり自分がマーティンだけを弾き続けてきたからだろうと思う。
【K.YAIRI(Kヤイリ) YF-00028】
K.yairi は実は初めて試奏した。これも実に弾きやすい。真面目なギターという感じ。音もちゃんと真面目になる。普通の000。

TOP : Solid Spruce
BACK/SIDE : Solid Rosewood
NECK : Mahogany
FINGER BOARD : Ebony
ただ、自分的には特に面白みがない。やっぱりマーティンの000のギターを持ってるからだとおもう。
【MAITON EBG808CTE メイトン トミー・エマニュエルモデル】
フィンガーピッカーがこぞって購入している印象のメイトン。流石に悪くない。だけど、生音で弾いてめちゃくちゃいいか?と聞かれるとそうではないと思う。普通に悪くないしいいんだけどね。音の感じはマーティンとはちょっと違うけど、自分の心に響く音では無かった(キラキラ感がそんなに強くない印象。また、タッチへの反応はヘッドウェイのHD531の方が良い)。やっぱりエレアコだし、設計が生音最重視ではないのだろう。

エレアコとしては試奏していないし、経験がないので全く評価できないから、YOUTUBEで演奏を配信したり、ライブで使う人とは評価が違ってと当然だろう。
いい点は、弦のテンションが低くて弾きやすい。あと弦の間隔などもフィンガーピッカー用に調整されているようだ。ただし、生音重視のフィンガーピッカーなら、後述するモーリスのギターのほうが断然良いと思う。
【Cole Clark(コールクラーク)】
これは引いた中では特にネックが太く感じられた。自分は手が小さいのでこのギターは無理。そのせいもあり、サウンドもあんまり印象に残っていない。

【K.Yairi(Kヤイリ)RAG-1】
超絶に弦高が低くて弾きやすい K.YAIRI。その一点において他に比類するギターが無かった(ヤイリのギターが全部こんなに弦高を低く出来るかはわからない)。

試奏したギターの中で最も優れたプレイアビリティ。音は普通に良く鳴ってクセが無い。スモールサイズのボディなので低音のふくよかさには欠ける。また音にキラキラ感も無い、とてもプレーンな味の音。
【MORRIS(モーリス) F-LTD II オール単板のお買い得モデル】
モーリスのoooサイズのギター。全部単板でできているのでコスパが良いという評判。

実際に弾いた感じ、これ買っておけばまず満足だろうという音がする。これで145,000円だから確かにコスパはいいんじゃなかろうか。音が好みに合うなら◎。ちょっと背伸びして買うギターとしてならこれは最高!だろう。
しかし、下のM-104があまりに良いので、そういう高いギターを弾いてしまうと戻れないくらいの差は確かにある。
【MORRIS(モーリス) M-104BW フィンガーピッカー用モデル】
世界で5本限定の、モーリスのフィンガーピッキング用専用モデル。驚いたのはストラップをつけるエンドピンすらついていない。このことから本気でフィンガーピッカー用に作ったことがうかがえる。

弾いた印象はとてもいい。明らかに上の F-LTD II より鳴りがよくってビックリした。音はローズウッド系より柔らかく、包まれるように鳴る。なんというか、性格いい女性みたいな感じがするギター。これはちょっと独特な感じのサウンドで、かなりいいと感じた。柔らかい印象でよくなる楽器が欲しければ、めっちゃあり。これは欲しい。モーリスって安いギターの印象強かったけど、高いギターはちゃんとめっちゃ良いです。
過去最も驚いたギターは「KAORU」ギター
KAORUギター、たしか触ったのは1997年くらいのこと。だからごく初期のものだと思う。見つけたのは大阪の高槻駅前の井上楽器にて。
本当に特別だと思うギターだった。衝撃的過ぎて今でも覚えている。なにがすごいって、当時色々弾いた中ではありえないほど音の立ち上がりが早く、しかもサスティーンが良く、しかもビブラートを掛けたらギターが泣いているかのような音がした(高音にすごく艶があったし、タッチへの反応が超良かった)。ギターが当時の価格で30万とか、そういう感じだったと思う。2か月一生懸命バイトしたら買えるなって思った記憶がある。今KAORUギターを買おうとすると100万くらいするんじゃないだろうか。今でも30万であったらお金なくても即買います。
社会人になって仕事をして、お金を握りしめてお茶の水の楽器屋さんを見て回り、クロサワ楽器だか石橋楽器だかの店員さんに聞いても「KAORUギターなんて聞いたことが無い」と言われ、2度とKAORUギターには出合えなかった。
まとめ:アコースティックギターも20万円台くらいからは音って好みだと思う
あれこれ試奏してみて思うのは、やっぱり10万円くらいのモデルと20万円のモデルでは飛び出す音の大きさとか、ヌケの良さがすぐわかるくらいに異なる。ただ、20万円半ばくらいまではサウンドが良くなっていくけど、それ以上に高いギターって音はもう好みになる。だから30万のギターを弾いていいのがないからといって、50万で探しても気にいるのが無く、でも、25万のギターのほうが良かったっていうことがありえる。
あとは、設計が違うと音が異なるのも面白い。気に入るモデルが見当たらないなら、ブレイシング違いとか、木材の違いとかで、試しに弾いてみるのもいいと思う。それに、塗装の薄さも重要だ。

結局、 KyairiのRAG-1Vを購入し、その後に Headway HD-531 ATB を購入しました。
K.yairiの購入理由としては、まず、難しい曲に挑戦するのにプレイアビリティは重要。弦を押えられなければそもそも話にならない。また小ぶりなボディで持ち出すためのトラベルギターとしても最高だ。
そして、Headwayを購入した理由は、トラディショナルじゃない音のドレッドノートって珍しくて、その特徴が気に入ったから。何気なく弾かせてもらったら、なんだコレ!?自分の弾いたことのない音のギターで、忘れられなくなって買っちゃった。こうして列挙してみると、これらの試奏した中でキラキラ感が一番強く、レスポンスも最も良かった(これ以外だとKAORUギターが同様にキラキラ感が強くレスポンスが良かった)。自分にとっては一生物のアコギになるんじゃないかと思う。

ちなみに、メーカー生産終了と思ったHD-531は、The Fiveという名称で進化して復活してました。これも、HD531同様、キラキラ感とレスポンスがめっちゃいいんじゃないかと思います。

親指の締め付け具合が調整できるサムピック。打田十紀夫氏監修。
まるで、べっ甲ピックのような弾き心地のTAKAMINEのピック。厚みはミディアムが良い。ウルテム製。
アーニーボールのコーティング弦。コーティング弦としては比較的安価
マホガニーのギターにはブロンズ弦が好き。ダダリオよりマーチンの弦の方が好み。
アコースティックギターマガジンのHEADWAY特集号
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