40kmで4w削減するというMAVICの特許スポークはどれくらい凄いのか??また、ホイールの慣性モーメントで発生するワット数の違いはどれくらいなのか?

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以前スポークの空気抵抗に関する考察を書きましたが、さらに追加で考察です。計算した空気抵抗係数と、慣性モーメントの数値をワット数に置き換えると、一体どれくらいになるのでしょうか??

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スポークの空気抵抗係数や、慣性モーメントで発生するワット数の違いはどれくらいなのか?理論値と実験値で検証する

今回の考察は、理論的な数値と実験で得られた数値を検証してみようということ。そしてマビックの特許スポークがどれくらい凄いのか理屈で理解してみようという考察です。

実験値はこちらの数値を使用します。

Great wheel test 2008 – Part 1 – Aerodynamics | Roues Artisanales

※考察していて慣性モーメントとワット数の関係も考えることになったので最後の方に書いています。

検証用の数値はレーシング7とユーラス、ボーラ50を使用

上記のサイトから、検証用に以下の3つのホイールの数値をお借りします。それぞれ時速50kmの時の数値前回計算したスポークの空気抵抗係数を並べてみましょう。(数値はともにフロントホイールのみ

  • ホイール 実験値 空気抵抗係数 Wの差 空気抵抗係数の差
  • XENTIS MARK1 TT(参考) 17.1w
  • BORA 50 23w  1137 +5.9w
  • EURUS  27.8w 1961 +4.8w +824
  • RACING7 32.8w 2942 +5w +981
XENTIS はこんなホイールです 58mmでスポークは4本
詳細な仕様が分かりませんが、多分空気抵抗係数は400以下(スポーク一本の断面積が2mm以下になる計算)
実験結果をみるとリムで15wくらいの抵抗になっているはず

以上を見ると実験値と理論値で、ホイール毎のワット数の差分についてはそこそこ当てになる数値と思います。

ロード始めてからのホイールはレーシング7からシャマル、シャマルからボーラWTO45にしたけど、やはり順当に速くなることを感じられます

それよりボーラとレーシング7で50km/hのとき約10ワットしか違わないことのほうが驚きかもしれません。

もっとも、4メートルの向かい風で30キロで走るなら、空力的には44.4キロに相当するので、ゆるポタ時でもキッチリそのエアロ効果を発揮しているはずです。

貧脚でもしっかりエアロ効果を味わえるはず!

自分のホイール経験と照らし合わせる、自分がホイールを重く感じ始めるのは何ワットの抵抗からなのか??

ところで、前回のココでかいたように、私の場合、回転空気抵抗を感じるのは2400000位から(係数×速度の2乗)。つまりスポークの回転抵抗のみで言えば、約5wくらいでホイールを重く感じ始めるようです。非常に少ないワット数でも重みを感じるようですが、スポークの空気抵抗は速度の2乗に比例するので、この先は加速度的に抵抗が高まっていきます。(理論上40kmで28kmで走るときの2倍のスポーク空気抵抗になる)

f ( r の位置の空気抵抗)=v ^2(スポークが空気を切り裂く速さ)× A(スポーク形状による定数)となります

また係数に700位の差があれば違いを感じ取れると書きましたが、40kmの時に2~3wの差がでるはずなので確かに違いを感じ取れるでしょう。(チェーンを洗って数ワットでも違いが分かりますよね?)

スポークの形状による空気抵抗の違い、楕円スポークのエアロ効果は凄い!

空力が良くなる楕円エアロスポークの空気抵抗削減率について、今回参考にしたサイトでは0.9mmのCX-RAYは実質0.5mm程度、1.2mmの楕円スポークは実質0.8mm相当。つまり楕円エアロはスポークの0.55~6倍程度の太さになる効果があるということですね。

http://www.rouesartisanales.com/ より引用 詳しくは元サイトをご覧ください

このように細いスポーク(特にCX-RAY)は空気抵抗の削減に非常に効果的ですが、のむらぼさんによると良いだけではなく、使い方に依るということです。↓

半コンペを半CXスプリントに組み直しました - のむラボ日記
自転車工房「のむラボ」のブログです

MAVICの特許!40km/hで約4W削減するというエアロスポークはどれくらい凄いのか?

空力改善といえばMAVIC特許のエアロスポークは40kmで約4wの削減効果があるとアナウンスされています。

マヴィックのSLRグレードとキシリウムSLに採用される特許のエアロ楕円スポーク

※サイクルスポーツでは40kmで2w削減と書かれています

コスミック&キシリウムシリーズを一新 MAVIC、動く!|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp
コンポーネントブランドのマヴィックが、ロードバイク用ホイールのラインナップを一新。 「カーボンフォーテクノロジー」を採用した新生コスミックをはじめ、注目のモデルとマヴィックの今をお伝えする。 「マヴィックは

ということで両輪で4w、片輪で2wとして考えます。

40kmで2w削減というのは、空気抵抗係数を700位下げるくらいの効果。つまり、同じスポークならリムハイトを20mm~25mm上げた分くらいの効果があるということになります。

ただし、これってディスクホイールになってフロントスポークが+6本となったことで、リムブレーキのホイールに対して20mmくらいハイトを上げないと空気抵抗では同等にならない。だから結局リムブレーキのホイールと同等になるということでしょう。しかし、ディスクのホイールの空気抵抗の大きさにびっくりした身からすると、これは本当に素晴らしい!

※このBORA35DBでビックリしました↓(^^;

まとめ:ディスクホイールの進化はスポークがやはり超重要!

改めてスポークの形状も超重要ということが分かりました。数ワットの違いでも私たちの脚は感じ取ってしまいます

こうした理屈で計算した時、慣性指標が80以下、空気抵抗係数が1500以下のホイールなら、「慣性も空力も並みのホイールをはるかに上回るホイール」になり、私の場合はまず満足できるはず。例えば MAVICのSLR32、ZIPP303sですね・・・スポークが細いならアルテグラの36mmも良いかも。あと、高速域の空力を少しだけ妥協すればキシリウムSLも十分に良さそう。理屈でホイールを選ぶならこの辺で、あとはフィーリングで足に合うものを、という感じ。

コスミックプロカーボンUST 定価24万。上記の条件を満たすホイールはこのホイール より少ないワット数で走れるはずです

そうそう、慣性モーメント的にはタイヤシステムの重さもかなり重要なので、25cが使えてリムの内幅が広いとなおベターでしょう。

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フックレスに抵抗がないなら、どう考えてもお買い得。フィーリングが合うかどうかは重要だけど・・・

ZIPP 303 S CARBON TUBELESS DISC BRAKE WHEELSET が 11万円台@PBK

ところでBORA ONEやBORA WTOはフロントの縦剛性が高く感じられ(フロントが突っ張る感じがある)、荒れた路面を走る時にちょっと走りづらい。そこまで縦に突っ張る感じのしない、スポークの太いTOKENのPRIMEやキシリウムエリートは走りやすい。その辺まで考えると中々ホイール選びは悩ましいですね。

※アルミリムはカーボンリムと違い、変形するから荒れた路面でも走りやすいのかなぁと思ったりする↓

ホイールの慣性モーメントについて。慣性モーメントで発生するワット数の違い

※ちなみに実験値を引用した元サイトではよく見てみると慣性モーメントについてのテストもしているようです。

Great wheel test 2008 - Part 2 - Inertia - Roues Artisanales - Bike tech magasine - handbuilt wheels boutique
Inertia tests Photo credit : www.photos-dauphine.com Our second installment focuses on inertia - another very important characteristic. Inertia has a signficica...

いや~、やっぱり慣性モーメントも気になりますよね(笑) ということで追加で考察します。以前算出した慣性モーメントと比較してみましょう。

例として、空気抵抗を検証した3本のホイールをつかってみます。実験結果から、「0kmから30kmに10秒で加速するのに必要なエネルギーJ(ジュール)」をお借りして、以前計算して出した慣性指標を並べてみます。実験には235gのタイヤシステムを含むのでそれ込の慣性指標です。

  • ホイール ジュール 差分 慣性指標 差分 必要なワット数の差
  • BORA 50tu 103J    119.19
  • ユーラス   123J 20J 137.00  18 2W
  • レーシング7 134J 31J 151   32 3.1W

このジュールには、74kg分のライダーの体重と自転車分(ホイール分省く)が含まれています。

※235gの代わりに210gのタイヤシステムを使用すると、約4Jを節約できます。つまり、0〜30km / hの加速ごとに0.4Wの節約になります。→つまりタイヤで60g違えば1w違いますね。

こうしてみると、実験で得られたジュールの差分と慣性指標の差分は、大きく違わないので、参考にしてよいのではないかと思います。

というか驚きは、10秒で0km/hから30km / hに到達するのに必要なワット数の差は、ボーラ50チューブラーとレーシング7で3.1Wしか違わないという実験結果の方かも(^^;

レーシング7も(高速域を除けば)中々やるではないか!重いホイールの人はゆっくり加速すればいいんです!

もっとも、仮に4秒で30キロまで加速するなら実に7.7wの差になるので、レースでのアタックや、ヒルクライムで(斜度の変化を加速でいなすような走り方をして)タイムを出すときにはとても大きな差になります!レースでの千切り合いならここは妥協できませんね。言い換えると、慣性指標で10違えばこの条件で2.5Wの差が出る計算になります。

改めてタイヤシステムの重量も重要なので、書いておきます。例えば、ZIPP303sでも純正タイヤ25c(295g)にリムテープ(20g)とシーラント30g、チューブレスバルブ(5g)を入れればタイヤシステムは合計で350g。結果、慣性指標は153になり、上記の235gのタイヤシステムを装着したレーシング7の慣性指標151と同等になります。

25cで295gのZIPP純正タイヤ。加速を重視したいならもっと軽いタイヤを選ぶのが吉でしょう。

総括:ホイールの性能はワットで見れば微々たる差だが、フィーリングにとっては大きな差

ホイールを変えれば走りが変わると言われます。しかし実験結果は慣性モーメントも空気抵抗もそれぞれ普段は10ワットにも満たないような差

このような実験結果を見ると、エンジョイ勢にとっては、ホイールを変えても大して速くならないから意味ないとも言えます。しかし、レーシング7からボーラチューブラーに変えたときのたったの3wは大きなフィーリングの変化。つまり、フィーリングを重視して気持ち良く走りたいなら、たった「3wしか違わない」というより、「3wも違う」というべきでしょう。

ZIPP303fcと比べて、踏み味でBORAを選んだけどそれも高速域での数ワットの差だと思えば悪くない判断(特にいつもは速く走らないし)

ということで気持ち良くなりたいなら、ホイールを買い替えるより、まずは良いタイヤやラテックスチューブor軽量チューブを使いましょう!交換するだけで1w~2w削減できるラテックスチューブのコスパは最強です。また、良いタイヤは転がり抵抗が大きく改善します。あと、エクステンザR1sは145gと超軽量なタイヤなので慣性モーメントを大きく改善できます。またパナレーサーのジラーも170gと超軽量。チューブレスならIRCのs-lightが220gです。

こうして考えると、やはりタイヤの転がり抵抗は最重視すべきファクターですね。乗った印象だとGP5000sTRはかなり良いです。

過去の理論値はこちら、まずはリムハイト×空気抵抗について

リムの重さ×慣性モーメントについて

ディープリムホイールの横風の影響への考察はこちら

TTバーは異常に効果があります。ただ、速くなるけど踏んだ時のフィーリングが良くなるわけではありません(^^;

昔書いた地味な抵抗削減のまとめ、最初はこの辺からやると良いでしょう

軽量なチューブレスタイヤ、IRC s-light

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