ディスクブレーキのホイールになってフックレスリムでチューブレス専用のZIPP303FCなど、明らかにこれまでのホイールとは異なる製品が発売されだしました。ZIPP303FCは既にチューブラーホイールを食ってしまうほどの外周部の軽量化を実現しています。
現在のディスクホイール事情は、フックレスリムやフックありのリムが入り混じった状態で、各ホイールかなりリム重量や使えるタイヤがまちまちです。ということで軽量なカーボンディスクホイールをピックアップして検討してみます。
- ディスク用の軽量カーボンホイールまとめ、最新ホイールはチューブラー並みの外周部を実現!
- ONEAER(ワンエアー) DX3 Wheels
- ONEAER(ワンエアー) DX5 Wheels
- Zipp(ジップ) 303 Firecrest Tubeless Disc-Brake
- Zipp(ジップ) 303s Tubeless Disc-Brake
- Project-K 2525HLD カーボン・フックレスホイール/ディスク専用
- Project-K 3025HLD カーボン・フックレスホイール/ディスク専用
- WH-R9270-C50-TL R9200デュラエース ホイール
- WH-R9270-C36-TL R9200デュラエース ホイール
- WH-R8170-C50-TL R8100アルテグラ ホイール
- MAVIC (マヴィック)KSYRIUM SL DISC
- MAVIC(マヴィック)COSMIC SLR 45 DISC
- MAVIC(マヴィック)COSMIC SL 45 DISC
- MAVIC(マヴィック)COSMIC SLR 32 DISC
- MAVIC(マヴィック)COSMIC SL 32 DISC
- Campagnolo(カンパニョーロ)BORA WTO 33 DB
- Fulcrum(フルクラム)Speed 40 DB
- Fulcrum(フルクラム)SPEED25
- GS ASTUTO Astuto EV36 ADB
- FULCRUM Racing 4 DB 2WAY-R
- タイヤの重量も重要
- まとめ:ディスクホイールのリムの規格は過渡期。ビッグブランドより製品化の早いスモールブランドが有利かも?!
- 参考:ざっくりとした外周部重量目安について
ディスク用の軽量カーボンホイールまとめ、最新ホイールはチューブラー並みの外周部を実現!
といことで気になるスペックのホイールと慣性モーメントの記事で書いた指標を算出して記入してみます。
※相変わらず、ニップルが真鍮かアルミは考えずに、リムテープ無しで計算しているのであくまで参考までに。比較対象としてリムブレーキ版のキシリウムプロUSTは79.65、BORA ONE 35クリンチャーが80.14 BORAONE50のチューブラーが68.02です。つまり、指標が80位で十分に「登れる」ホイールということになります。※低い方が軽いです。
※慣性モーメント指標とワット数の関係についてはこちらの下の方に書いています。
ONEAER(ワンエアー) DX3 Wheels
1292g リム高38mm リム幅26.5mm リム内幅20.1mm 25~35c
218,000円(税別) リム慣性指標 67.42
T1000カーボンを使用して超軽量の355gに仕上げたリムが特徴。フックレスではなく、小さいフックがあるのでクリンチャー運用も出来る。極小フックというのは最新のR9200のホイールでも同じ仕様ですね。リムテープは必要なので+20g位しておけば良いでしょう。リムの慣性モーメント的にはBORA ONE50チューブラーと同等になります。
ONEAER(ワンエアー) DX5 Wheels
1370g リム高48.1mm リム幅26.3mm リム内幅20.1mm 25~35c
218,000円(税別) リム慣性指標 74.57
DX3と同じく、T1000カーボンを使用して超軽量の399gに仕上げたリムが特徴。フックレスではなく、小さいフックがあるのでクリンチャー運用も出来る。ハブはDT240s。スペック上の弱点はリムテープが必要なことくらい。リムが固いというインプレが見られますが、それはフレームと同じでT1000カーボンの宿命なのかも。
Zipp(ジップ) 303 Firecrest Tubeless Disc-Brake
1355g リム高40mm リム幅30mm リム内幅25mm 28c~
234,100円(税別) リム慣性指標 69.09
フックレスでリムが365gと超軽量(※ソースはココ。)一方でチューブレス専用で最大空気圧は72.5psiと低圧運用専用。リムテープは必要。ワンエアーのDX3と同等の慣性(BORAONE50チューブラー並み)でリム幅はより太いためエアロ性能も高いと考えられます。28c以上でのチューブレス化に抵抗が無ければ最高のホイールなのでは無いでしょうか?GP5000 S TRにも公式に対応しているようです。
Zipp(ジップ) 303s Tubeless Disc-Brake
1540g リム高45mm リム幅27mm リム内幅23mm 25c~50c
141,800円(税別) リム慣性指標 77.00
フックレスでリムが410gと超軽量(ソースは海外のサイト)。303FCと違い、ディンプルパターンはありませんが25cのタイヤが使えるのが好ポイント(25cのタイヤなら28cより30gは軽いから差は縮まります)。これでも十分にリム回りが軽い!ディープなのにキシリウムカーボンやキシリウムプロ並みです。確かにスーパーバリューホイールですね。そしてグラベルバイクにも使える。また、303FC同様にチューブレス専用で最大空気圧は72.5psiと低圧運用専用機。リムテープは必要。一応、ニップルがFCはアルミ、Sは真鍮なのでリム以外も重量差があります。
Project-K 2525HLD カーボン・フックレスホイール/ディスク専用
1150g リム25mm リム幅24m リム内幅20mm 23c~28c
125,000円(税別) リム慣性指標 48.45 最大6気圧
Webの自転車メディアである「La route」でも取り上げられていましたが、注目に値するProject-K オリジナルホイール。フックレスリムで250gの超軽量リムを採用。25mmのローハイトリムなのでエアロ性能は期待できないが軽量性が異常。リム慣性はBORA35チューブラーは余裕で越えて、デュラエースWH-9000-C24-TUのチューブラーリム、C24の250gと同じですね。
23cタイヤが使えるので、205gのIRCのs-light23cをインストールすれば超ヒルクライム向けホイールになるでしょう。※リムやリムテープと合計しても480gとアルミクリンチャーのリムだけの重量みたいになります。
ただ、外周部がひたすら軽い方が良いか?というと難しいところ。例えばリム250gのWH-9000-C24-TUはヒルクライムのみで平坦は全然ダメという評価を聞いたことがあります。平坦も重視するなら、やはりそこそこの重さとリムハイトがあった方が良いのでしょう。慣性重量が影響するのはあくまで加速の時ですし。
※C24TUに関してはシクロワイアードさんにもインプレがありました↓
Project-K 3025HLD カーボン・フックレスホイール/ディスク専用
1300g リム30mm リム幅25m リム内幅21mm 23c~28c
125,000円(税別) リム慣性指標 65.38 最大6気圧
Project-K オリジナルホイールの30mm版。フックレスリムで340gの軽量リムを採用。つまりレーゼロカーボンより圧倒的に軽い外周部。ZIPP303fcより少し軽い。50mmリムで390gの物も(=リム慣性指標 72.67)。詳しくはこちら
WH-R9270-C50-TL R9200デュラエース ホイール
1461g リム高50mm リム幅28mm リム内幅21mm 25~32c
233,530円(税込) リム慣性指標 83?
雑誌などのインプレで超高評価のホイール。36mmと60mmもありますがシマノの中の人もこの50mmの出来が最も良いとしています。非常に試してみたいホイールですがシマノ12速専用という問題が・・・交換用の11速フリーだけ売ってくれれば爆売れしそうですね。のむらぼさんの検証から計算すると
リムは410~420g位じゃないかな?だとするとリム慣性指標は77程度ですね。フロントがカタログ通り674gとすると恐らく445gくらいですね。
ところでスポークが分からなのですが、仮に1.1mmの楕円エアロスポークだとする(スポークだけのスモールパーツの型番1100だし(笑))と、空気抵抗係数1167と結構速いですね。 ※空気抵抗係数についてはこちら↓
WH-R9270-C36-TL R9200デュラエース ホイール
1350g リム高36mm リム幅28mm リム内幅21mm 25~32c
233,530円(税込) リム慣性指標 74.40?
フロントが620gということは・・・リムは390gくらい。リムテープは必要ですが十分に軽量なリム。フックレスが心配な人もコレは良いかも!
スポークも仮に上と同じように仮定すると、空気抵抗係数は1374。
WH-R8170-C50-TL R8100アルテグラ ホイール
1570g リム高50mm リム幅28mm リム内幅21mm 25~32c
157,300円(税込) リム慣性指標 83?
注目株のR8100アルテグラのホイール。リムプロファイルがR9200デュラエースと同じ。そして11速のスプロケットが使用可能!なのに15万円台!重量&価格帯的にも、ZIPP303sと丁度良いライバルのような感じ。クリンチャーを使いたいならこちらですね。デュラエースとはスポークも異なるようです。※カーボン素材も異なるっぽいのでリムはもう少し重いものかもしれません。
WH-R8170-C36-TLは上のデュラエースのC36のように、リムは390g、慣性指標は74.40と予想します。しかし、リム素材が異なるということで少し重いリムなのかもしれませんね(^^;
MAVIC (マヴィック)KSYRIUM SL DISC
1575g リム高22mm リム内幅19mm 25~32c
90,000円(税抜) リム慣性指標 79.65
リムが400gのローハイト・アルミホイール。リムのキシリウムプロUSTよりも内幅が2mm広がっています。400gのリムのキシリウムエリートUSTでもかなり軽量に感じたので、このホイールもヒルクライムに向いているでしょう。カーボンのように気を使わなくていいし、リムテープ不要でチューブレスも使えて結構お買い得かも。しかも、スポークも以前のものと異なり、楕円形の最新エアロスポークを採用。MAVICではこれが40km/hで5wの削減につながるとしています。高速域でのエアロ性能が不要であればお買い得なホイールと思います。下位グレードのKSYRIUM Sだと430gのリムになります。
ところで、スポークの変更は微差のようですが、横風の影響などでも十分体感できるんじゃないかと思います。BORA WTOも楕円スポーク採用で明らかに良かったので↓
MAVIC(マヴィック)COSMIC SLR 45 DISC
1440g リム高45mm リム幅28mm リム内幅19mm 25~32c
250,000円(税抜) リム慣性指標 74.19
リム重量は前作から55g軽量化とアナウンスされているので恐らく450g-55gから軽量化され395gのリム。50mm近いディープリムの中で最軽量級です。そしてリムテープ不要なのが非常に良い点。ただ、リム重量を公表しているわけではないし、新たな製法で埋め込んだナットが意外に重い可能性もあります。
MAVIC(マヴィック)COSMIC SL 45 DISC
1575g リム高45mm リム幅26mm リム内幅19mm 25~32c
160,000円(税抜) リム慣性指標 84.52
SLグレードではリムの軽量化には言及が無く、スポークで軽量化したことがアナウンスされているので、恐らくCXP プロ カーボン USTリムで重量は450g。リムテープは必要。私はリムブレーキ版を持っていて登りも軽いので結構気に入っているホイールですが、最新リムのZIPP303sやアルテグラホイールの前では分が悪いかも。
MAVIC(マヴィック)COSMIC SLR 32 DISC
1390g リム高32mm リム幅28mm リム内幅21mm 25~32c
275,000円(税込) リム慣性指標 69.97
恐らくリム重量は365g。そしてリムテープ不要。ZIPP303fcのライバルに当たるようなホイール。少しハイトは低くなりますがリムテープレスの便利さをとるならこのSLR32は良いでしょう。
MAVIC(マヴィック)COSMIC SL 32 DISC
1499g リム高32mm リム幅28mm リム内幅21mm 25~32c
187,000円(税込) リム慣性指標 77.63
恐らくリム重量は405g。リムは軽量ですがリムテープが必要。買いやすいホイールで狙い目ですが、マヴィック特許の楕円エアロスポークが採用されていない点が玉に瑕。
Campagnolo(カンパニョーロ)BORA WTO 33 DB
1485g リム高33mm リム幅26.1mm リム内幅19mm 23~32c
352,000円(税込) リム慣性指標 79.55?
憧れのBORA WTO。リムテープは不要。サイスポでは非常に上品な走りをして、登坂性能が非常に高いという評価をされていました。リム重量は分からないのですが、慣性質量は以前予想した415gという数値で計算。WTO33は乗ったことが無いですが、BORAONE35DBが非常に良い感じだったので良さそう。
Fulcrum(フルクラム)Speed 40 DB
1470g リム高40mm リム幅26.1mm リム内幅19mm 23~32c
274,000円(税抜) リム慣性指標 80.45?
リム重量は不明ですがひとまず425gで計算。リムテープ不要の2way-fit。フルクラムながら足当たりが良いという評価。リムブレーキ版から高評価のホイールでしたので気になる存在。これらのホイールの中で比較すると重く見えるけど、ナローリムのシャマルが85.83なので十分に軽量。
そして慣性指標が79のキシリウムエリートと85のシャマルだと、確かにキシリウムの方が軽いけど、登ってて面白い(反応が良い)のは剛性の高いシャマルという違いがあります。
また、フロントのスポークが BORA WTO の24本に対し、SPEED 40 DB は21本なので高速域は有利でしょう。
Fulcrum(フルクラム)SPEED25
1285g リム高26mm リム幅24.6mm リム内幅21mm
¥380,600 リム慣性指標 ?
新しく発売されるフルクラムのクライミングホイール。非常に軽量で、ATSMカテゴリ1のレーシングホイール。マット仕上げのリムは相当軽そう。仮に350gとしても慣性指標は67.83。実際はもう少し軽いんじゃないかな・・・
GS ASTUTO Astuto EV36 ADB
1450g リム高36mm リム幅29mm リム内幅21.5mm 25~35c
178,200円(税込) リム慣性指標 74.40
リムハイト36mmでリム重量は390g。リムテープは不要でチューブレス&クリンチャーが使えて17万円台と検討に値するホイール。そして、現状シマノ11速で将来シマノ12速化やカンパ13速化も視野に入れる場合、ショップの手組ホイールならフリーが簡単に交換できる仕様かもしれないので、悩める人の解決策になるホイールかもしれません。25cのタイヤを入れれば28cを入れた303fcより外周部を軽くできるかも。
これに軽量繊維スポークを入れたberd仕様(25万くらい)に乗りましたが、ZIPP303FCより軽く進むように感じました。※繊維スポーク仕様はスポークが伸びるので自分で調整が必要です。
またフックレス仕様のモデルもあり、リムの内幅が26mmと大きくなりタイヤは28c~の対応になります。
FULCRUM Racing 4 DB 2WAY-R
1710g リム高34mm リム幅24mm リム内幅19mm(2022モデル)
71,500円(税込) リム慣性指標 93.5?
特に軽量なわけでは無い普通のアルミリムのディスクホイールだけど意外に良かったのでピックアップ(スペシャリッシマの試乗に25cのタイヤとともについていました)。チューブレスも使えるが、2way fit readyなのでリムテープが必要。2022年モデルからリムの切削がされてリムが軽量化、リム内幅が17mm→19mmと変更されています。カーボンホイールのあとに少し乗ってみた感じは意外に悪くない。仮にリムが490gとして計算すると93.5。決して軽量ホイールでなくても、普通のアルミも悪く無いと感じたホイール。スポークもストレートプルだし。
タイヤの重量も重要
慣性モーメントにとっては、もちろんタイヤの重量も重要なファクターです。
- 350gのタイヤシステム、上記に38.11をプラス
- 300gのタイヤシステム 上記に32.67をプラス
- 250gのタイヤシステム、上記に27.22をプラス
- 200gのタイヤシステム 上記に21.78をプラス
またリムテープが必要なホイールは+2してください。
例えば、KSYRIUM SL DISCに、25cのGP5000sTR(250g)を入れてシーラント30g、チューブレスバルブ10gを装着するとすると、
キシリウムSL(79.65)+フロントとリアタイヤ290g(31.58×2)=142.81
Zipp(ジップ) 303 FirecrestにGP5000sTRの28c(280g、シーラント30g&リムテープ20g&バルブ5g)を入れる場合は
ZIPP303FC(67.2)+タイヤシステム335g×2(36.477×2)=140.15
この二つ、登りの軽さはほぼ同じになります。つまりタイヤシステムの重量も超重要!ということ。
GS ASTUTO Astuto EV36 ADBに25cのタイヤ(250g+シーラント30g+バルブ5g)を入れれば、合計136.47となり303FCより慣性モーメントは小さくなります。
※当然リムハイトが高い303fcは高速域で有利です↓
まとめ:ディスクホイールのリムの規格は過渡期。ビッグブランドより製品化の早いスモールブランドが有利かも?!
現在リムの規格は過渡期と言える状況です。過去のやり方でリムを生産するよりも、T1000カーボンやフックレスを取り入れた最新リムの方が圧倒的に外周部を軽量に出来ます。ということで最新スペックをいち早く取り入れられるスモールブランドが有利。
例えばですが千葉の市原にあるショップ「Project-K」ではショップにカーボンリムをストックしていますが、最新リムを使うために大量ではなくあくまで数本ずつをストック。リムを手に持たせてもらったことがありますが、規格ごとの軽さの違いに驚きました。一昔前はチューブレスリムはクリンチャーよりもどうしても重くなったのですが、最新ではチューブレスの方が軽くなりましたね。
参考:ざっくりとした外周部重量目安について
- エントリーロード 外周部1800g(鉄下駄と言われる500gのリム、300gのタイヤ、100gのチューブ、前後輪があるので二倍して1800g)
- ハイエンドホイール 外周部1400g(420gのリム、210gのタイヤ、70gのチューブ)
- チューブラーホイール 外周部900g~1350g
- 最新ディスクホイール 外周部1240g(SLR32の365gのリム、220gのTLタイヤ、30gのシーラントと5gのTLバルブ)
- 最新ローハイトリム 外周部1010g(250gのリムと255gのチューブレスタイヤシステム)
手持ちのホイールで、外周部を軽量化できるアイテム。リムテープやタイヤ&チューブの重量も大いに重要です。
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以前書いたリムブレーキ版のホイール外周部について
高速域で効いてくるエアロ性能について
慣性モーメントやスポーク数によるワット数の違いについて
ホイールの剛性について
グラベル用ホイールについて
303FCにするつもりが、結局bora35DB履いてます
軽量なチューブレスタイヤならこちら
実はMTBも非常に軽量化が進んでいます。なんと880gのMTBフレーム、1240gのMTBホイールが存在します!
速く走るにはエアロポジション化の方が重要でしょう
チューブラーのリム重量の例
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