フックレスリムに最適なタイヤとは?低圧運用でも転がりに優れたタイヤを検討する

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フックレスリムのホイールを2セット使用していますが(ZIPPTOKEN)、どうもフックレスで低圧運用するのに向いているタイヤと向いていないタイヤがあるように感じています。

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フックレスリムに最適なタイヤとは?低圧運用でも転がりに優れたタイヤを検討する

フックレスリムの特徴としてはタイヤの低圧運用。5気圧も入れればかなり十分で、4気圧や3気圧で乗ることも当たり前。昔ながらの8気圧を入れるような設計のタイヤだと、パフォーマンスを発揮しきれないケースがあったとしても不思議では無い。ということで、フックレスリムには低圧でも転がりに優れたタイヤを選ぶ必要があるのではないでしょうか。

フックのないフックレスリム、ZIPP303sの場合は最大5気圧までです

IRC S-LIGHT 28Cはフックレス向きではないのだろうか?

こう思うきっかけとなったのは、フックレス以前のホイールでお気に入りだったチューブレスタイヤの一つ、IRCのS-LIGHT。軽くてグリップも良く、転がりもそこそこで安価、バランスの取れた良いタイヤと感じていました。あまりにお気に入りだったので何回かリピートして、ZIPP303sを購入した時にも、外周部の軽量化の為にIRC S-light 28cを選択しました。

ZIPP303sにIRC S-light28cを履かせたところ、確かに外周部は軽くなるんですけど、7気圧で運用したときのIRCと違ってそこまで気持ち良くない

しかし、走っていてなんだか気持ち良くない。いつものようにスルスル転がらない気がする。これまでこの IRC を、7気圧くらいで運用していたのに、フックレスの5気圧以下で運用したことで転がりが悪くなってしまったのかも。※私の使用したIRCはフックレス用に改良された FORMULA PRO HOOKLESS TUBELESS READY S-LIGHT の一つ前のIRCです。

低圧運用中の IRC S-light、グラベルバイク基準なら充分転がるんですけど、ロードバイク基準だと物足りない転がりです

むしろ、32cのグラベルキングの方が転がりが良い印象がある。つまり、高圧では良かったタイヤも、低圧ではフィーリングが変わってイマイチということが起こり得るということ。

※このIRCのフィーリングが悪化した原因は、低圧にしたことで、IRC特有の杉目パターンのグリップ感が強く出過ぎたのだと思います。

新しい IRC FORMULA PRO RBCCではタイヤパターンが変更されている

ところで、新しい IRC S-LIGHTではこのパターンが変更されました。まずは従来のパターン。

従来のパターン。ナローリムに合わせて7気圧入れるならこれがとても良かった

新しいパターン(2024年度版)ではセンターがスリックになっていますね。改良によって、転がり抵抗前は前モデルより9.97%軽減とのこと (by cyclowired )。低圧でも良く転がるように改良されていれば、また使いたいタイヤではあります。

新 FORMULA PRO S-light 2024年度版 IRCって宣伝は地味だけど、ロードタイヤに関してはパナレーサーより良い印象がある

タイヤのしなやかさが増したというアナウンスもあるので第6世代には期待できます。

4~5気圧でも転がりの良いタイヤとは?GP 5000sTRの太さによる転がりの違い

では、一般的に低圧でも転がりが良いタイヤというのはどういうタイヤなのでしょうか?これは、ある程度の太さのあるタイヤ(目安としては実測30mm以上)と言えそう。

参考にしたのは以下、色々な太さのGP5000STRを 4気圧にセットしたときの転がり抵抗のテスト結果。※データは Bicycle Rolling Resistance から抜粋

  • 25c 4bar 12.4w ※6.9bar なら 9.1w 
  • 28c 4bar 11.3w ※6.2bar なら 9.1w
  • 30c 4bar 10.8w 
  • 32c 4bar 10.2w 

このテスト結果をみれば一目瞭然。低圧だと太いタイヤの方が転がりが良い。よく言われることですがやっぱりそうだった。

GP5000sTR 32c は実測 316g でした

仮に 5bar で比べても、25c 11.0w、28c 10.2w、30c 9.8w、32c 9.4w と、太い方が転がりが良い。

GP5000sTR 32c は、主に舗装路を走るようなバイクパッキングに最高のタイヤなのではないでしょうか?!

というか、驚いたのは GP5000sTR 32c が非常に優秀なこと! だって、25c に 7気圧で 9.1w、なのでGP5000sTR 32cの 5気圧で9.4wというのは、細めのロードタイヤとほとんど同じ転がり性能!進みの良いタイヤと感じていましたが、データでも転がりがここまで良いとは!

詳しくはこの Bicycle Rolling Resistance をご覧ください。

Continental Grand Prix 5000 S TR 25, 28, 30, 32 mm Comparison
A detailed comparison of the Continental Grand Prix 5000 S TR in the 25, 28, 30, and 32 mm sizes. In...

ところで、内幅26mmのホイールに28cのGP5000STR(タイヤの太さは実測で30mm以上だったと思います)だと、とても転がりがよく感じられたので、ホイールに取り付けたときの実際のタイヤの太さが大切

新ETRTOだと29-34mmのタイヤはリム内幅C21が基準ですが、リム内幅はC21より更に太い方が良いでしょう。

タイヤクリアランスが狭いフレームでフックレスリムを使うと、転がりが悪化する可能性がある

逆に言えば、太いタイヤが入らないレーシングフレームの場合、5気圧しか入れられないフックレス・ホイールを履くと、転がり抵抗的には不利。25cの場合、上のデータからタイヤ一本あたり2〜3wの損失がある。ということで、少なくとも25cのタイヤを使いたい場合は、7気圧くらいを入れられるホイールを使った方が良いでしょうね。

※GIANTのCADEXのフックレスリムは高圧でもOKなので、問題がありません。5気圧以上入れられるタイヤのテストリストがあります

CADEX Hookless Rim Technology | CADEX Japan 日本
Learn about the key benefits of Hookless Rim technology and which tires can be used with CADEX Wheel...

太い低圧タイヤのメリット。路面の凸凹に対しては、低圧タイヤにメリットがある

ちょっと驚いたGP5000sTR32cのデータ。考えてみれば、5気圧の32cの方が、7気圧の25cより速くなるシーンは結構多そう。

こういう路面だと、そりゃそうだよね・・・

低圧のタイヤのメリットとしては、路面の凸凹によるエネルギーロスを抑えてくれる点。0.3wの差だと、ちょっと悪い路面ならひっくりかえってしまいそう。

参考になるのはこのシクロワイアードの記事↓

ジップのホイールラインナップは新時代へ フックレスリム、新型ハブを採用した303 Firecrest Disc - ZIPP Speed Weaponry vol.2
2020年、メイド・イン・USAを貫くジップのホイールラインナップが大幅刷新される。中でも40mmハイトのフックレスチューブレスリムと新型ハブをひっさげ、フルモデルチェンジを果たす303 Firecr...

記事のデータを抜粋すると、荒れた石畳を想定した空気圧テストでは、6.3気圧→4.2気圧で25wの抵抗削減。2.8気圧にすると更に17wも改善。

※28mmチューブレスタイヤ/体重85kgという条件。(速度の条件が分かりませんが、恐らく30km/h以上)

石畳のような条件でなくても、ちょっと凸凹していたら0.3wの差はひっくり返りそう

滑らかな路面のヒルクライムだと、7気圧25cのタイヤの方が軽いし絶対速いけど、そうでもないシーンだと5気圧32cの方が勝る場面も多そうですね。

体感でのPOWER CUP TLRとGP5000sTR、IRC-S-light、グラベルキングの転がりの差

体感ではどうでしょうか?フックレスリムにミシュランやグラベルキング、IRCも試しましたが、やはり最も転がりが良く感じられるのは GP5000sTR で、抵抗感が無くスルスル進みます。試したホイール毎の転がりの印象は以下、

GP5000sTR 32c 実測幅33.5mm 4bar > グラベルキングTLC 32c 4bar 実測幅34mm>グラベルキングSS 32c 4bar @TOKEN RoubX Prime

Michelin Power CUP 28c 実測幅31mm 5bar >(大差)> IRC S-light 28c 実測幅29.1mm 5bar @ZIPP303s

そして、34mmくらいのタイヤを履かせたTOKENのホイールと、30mmくらいのタイヤを履かせたZIP303Sで比べると、低圧だけどTOKENの転がりが劣っているとは感じない。

ロードにはミシュランのPOWERCUP28cを履かせています、タイヤは実測30mm以上の幅

ZIPP×ミシュランPowerCUP28cと比べると、TOKEN×GP5000sTR32cの方がちょっとした凸凹でも安定感が良く、より滑らかに進む印象があります。しかも3気圧くらいまで下げて舗装路を走っても、転がりが軽い印象が続き、イヤな感じにならない。ミシュランは低圧にするとネチョネチョ感が出てくる(モチモチ感とも言う)。空気圧で結構印象が変わるかも。

また、ころがり抵抗テストではイマイチなグラベルキング32c(SSやSKではないタイプ)も、実際の走行感はかなり良いです。

グラベルキング無印も結構いい。GP5000sTR32cからグラベルキング38cに代えても、そんなに悪くなる印象がありませんでした。

冒頭で書いた、IRCのタイヤはグリップ感が強くなりすぎて転がり感が減る印象がありました。これはタイヤ表面の杉目のパターンのせいかな??

IRCのタイヤ表面のパターン。7気圧だとグリップ感がつかみやすく好印象だったのですが、5気圧だとタイヤ表面の影響が出すぎるのかもしれません。

参考までに無印グラベルキングのパターンはこちら。

小さな凹凸があって少しザラザラしていますが、ほぼスリックといってもいいようなパターンです。

あくまで推測ですけど、低圧だと表面パターンの影響が大きく出るのかもしれません。

まとめ:フックレスリムの低圧運用におススメできるGP5000sTRの30cと32c、ミシュランパワーカップ28c

フックレスリムの低圧運用に良さそうな太めのチューブレスのロードタイヤの例はこちら

  • GP5000sTR 32c 320g
  • GP5000sTR 30c 300g
  • Michelin Power CUP TLR 30c 300g
  • Michelin Power CUP TLR 28c  280g
  • IFORMULA PRO TUBELESS READY S-LIGHT 30c 275g
  • Panaracer AGILEST TLR 32c 310g
  • Panaracer Gravel King TLC 32c 290g

同じ銘柄のタイヤなら太い方が良いのでしょうけど、もちろんタイヤの種類でも転がりが大きく異なります。ということで、転がり重視ならやはり普通のロードタイヤと遜色ない転がりの良さを誇る、GP5000sTRは間違いなくおススメ。舗装路のロングライドでも、乗っていてデメリットが感じられない。 軽量さを重視するなら、意外に軽いのが無印グラベルキングTLCの32c、カタログ重量290gで実測276g と非常に軽量なのでおススメ出来ます。

太くてしなやかなタイヤだと、凸凹路面やヒステリシスロスでのエネルギー損失も抑えられます by オールロードバイク・レボリューション

私の場合グラベルバイクのフロントにGP5000S TR 32cを入れて、リアにグラベルキングTLCの32cを履かせると、舗装路多めでもめちゃくちゃ快適でした。

32cのGP5000sTRはハイエンドタイヤ同等の速さなのに意外に安い。グラベルキングは比較的安価ですね。

Grand Prix 5000S TR 700x32C 【amazonで8750円】

パナレーサー(Panaracer) グラベルキング TLC 32c~43c【amazonで5000円程度】

各タイヤの転がり抵抗について

チューブレスタイヤのインプレ

フックレスリムのホイールのインプレ

太くてしなやかなケーシングのタイヤが転がりが速いことについて述べられている、オールロードバイク・レボリューション

オールロードバイク・レボリューション(ロードバイクの書籍)のインプレと、Rene HERSE(ルネ・エルス)のタイヤ
先日購入して読了したオールロードバイク・レボリューションについてです。 オールロードバイク・レボリューションについて(ロードバイクの書籍) ヤン・ハイネさんという方が書かれたオールロードバイク・レボリ...

スポークの空気抵抗について

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