ホイールはスペックだけじゃないと言われます。曰く、「カタログ重量よりもバランスだ」と。
zipp303 firecrestはスペック上、明らかに優れているのに何故か私はピンと来ませんでした。一方で、古いスペックの bora one や、繊維スポークで手組みされたGS ASTUTOのホイールはとっても良いものに感じました。←これらについては同じ意見の人ももちろんいました。
ということで、スペックで優れたホイールが、必ずしも良いホイールとは限らない現象について考察してみました。※あくまで考察なので間違っているかもしれません(^^;
ホイールの剛性と踏めるホイール、足の残るホイールについて
FFWDにホイールの剛性に関する面白い記事があります↓
考察したことがほぼそのまま書かれてありました。つまり同じ慣性モーメントのリムでも踏めるホイールと踏めないホイールがあり、固いホイールは足への反作用でダメージが蓄積されてしまう→それが原因で踏めなくなる、ということ。
そして、重いギアの方が足への反作用が少ない。これは私自身もスプロケットを 30t→25t にして実感しています。
筋疲労が少ないのに踏めないとしたら、脚への反力でのダメージが原因。その場合は重いギアに切り替えたほうが踏めるということになります。
※それと、私は過去のホイールインプレで横剛性とねじれ剛性をごっちゃにしていたことも分かりました^^;
剛性とギア比での踏める踏めないの関係性、ママチャリのダンシングについて
この剛性の話を理解しやすいのはママチャリとロードバイクの立ち漕ぎの違いでしょう。
ロードバイクのダンシングって、最初のころはどうにも継続するのが難しかったりします。すぐに疲れてしまう。一方でママチャリの立ち漕ぎなら、続けるのは簡単と感じる人は多いのではないでしょうか?
それは恐らく、ママチャリはロードバイクと違い、剛性が非常にマイルド。しかも、ギア重め。従って反作用によるダメージが少なく、体が楽だから(もちろんアップライトになるポジションの違いもあるかと)。これなら上記の「剛性による踏める・踏めない」を感覚的に理解できるかと。
スペックで良くても合わないホイールの問題点、「踏めなくなる」
硬いホイールでも回せばいいという意見があります。もちろんそれは正しいけど、そう出来ないシーンもある。それは上記リンク先のねじれ剛性の項目を読めば理解しやすい。路面が荒れていたり、斜度の変化があって、どうしてもトルク変動が起きるシーンでは足へのダメージが蓄積されます。硬いホイールでも全く問題ないのは平坦のTTのような、一定トルクで回し続けられるシーンでしょう。
また、付け加えると、筋力がなくて、体重を使ったダンシングをする人ほど、ホイールの剛性が問題になるはず。つまり回すペダリングだけでは登れない人ですね。どうしても踏んでいくことが必要になる。
リムの剛性が足あたりの良さを左右する例
踏んでいくことが必要な場合、 BORA ONEのようなバネ感のあるホイールが良い感じになります。ところでこのバネ感についてカンパニョーロジャパンの方に話を伺うと、BORA ONEはリムが柔らかく、その為に独特のバネ感が発生しているということでした。
また、ボーラの場合はG3組のために、スポークとスポークの間が広い部分がある。この部分があるため、リムが圧縮方向により「圧縮されやすい&伸びやすくなっている」と考えられます。(圧縮方向の剛性はスポーク間の距離に反比例するはず)
またリムハイトが高かったり、リム幅が広いと当然剛性はUP。※このへん詳しくは「構造力学」を参考にしてください。
恐らく、昨今のワイドリム化でリムの剛性はUPする一方なのでしょう。ところで、旧来のローハイトかつナローリムの BORA ONE35 は、よりしなりやすいホイールになっているはずです。
ホイールのリム素材、リムハイトによる剛性の違い
リム剛性については MAVICの展示ブースで体感することが出来ました。
リムに力を加えた時、アルミリムが最も柔らかく、32mmハイトのカーボンリムはそれより硬いが少したわんで、45mmのカーボンリムは硬くてほとんどたわまない。
ディスクロードでアルミリムのホイールが意外に良く感じるとしたら、剛性過多になりがちがディスクロードに対し、アルミリムが程よく抜けを作っているのかもしれません。
カーボンのトン数でも硬さは変わる!今後、軽いが硬いT1000カーボンのホイールが出てくるのではないか?
自転車の剛性について、バイクのフレームで考えると、T1000カーボンのハイエンドフレームよりもT700位のエントリーグレードの方が乗って体に優しいのは体感できると思います。一方でT1000カーボンのフレームは脚にきやすい。ですので、今後、超軽量リムを実現するためにT1000カーボンでリムが作られるとなると、「スペック上は軽いのに、硬くて踏み続けられない」というようなホイールが出てくるのでは?と予想されます。
T1000カーボンでリムが高剛性そうなホイールって、例えばONEAER(ワンエアー)とかですね。特にリムハイトが高い DX5 は硬そう。私は乗ったことないですけど。(^^;
スポーク素材が足当たりに与える影響
リム以外ではスポークも剛性に影響を与えます。カーボンスポークや繊維スポークであれば足当たりが良くなる印象。先日乗った GS ASTUTOのホイールは、軽量かつワイドリムでしたが、繊維スポークの為か非常に足当たりが良く、弾むように進むホイールでした。
ところで硬いリム×金属スポークでも、コスミックプロカーボンUSTは足当たりがよいホイールでした。
理由の一つはハブの幅が狭くスポークテンションが低めだからかも?2クロス組で片方のスポークテンションが柔らかいからというもあるでしょう。
まとめ:今後、足当たりの良いホイールを買おうとすると、リムが重い&金属スポークと、リムが軽い&カーボンスポークになっていくのではないか?
ということで今後、T1000カーボンの超軽量ワイドフックレスリム×繊維orカーボンスポークあたりが最高のスペックになる日も来るのかも。
一方で安価に柔らかさを求めるなら、旧来のアルミリム×スチールスポークのホイールもアリかも。私は、スペシャリッシマの試乗車についたレーシング4はとても良く感じました。
重いリムは慣性モーメントでは劣りますが、BORAチューブラーのリムとレーシング7で加速の時の差はたった「3w」ですからね(0kmから30kmに10秒で加速する場合。20秒で加速するなら差は1.5wになります)。
そういえばアルミスポークのキシリウムがディスクになって無くなったのも、剛性過多になるからなのかもしれません。
結局のところ、素材の組み合わせで「軽いけど踏めないホイール」や、「重いけど、踏めて慣性で進む悪くないホイール」が仕上がるわけで、これがホイールはバランスと言われる要因の一つなのでしょう。
※ホイールが硬すぎる場合、クランクやシューズのソール、ペダルで剛性を弱めるのもありかもしれません。
ホイールや機材が硬い時には、ポジションを変えるのも一つの手かもしれません
デュラエースと105の違いについて
デュラエースより柔らかいクランク
ペダルをデュラエースに変えた時も、踏み味が硬くなったように感じました
足あたりを良くするだけなら、ゴムソールのシューズ×フラペにすればOKかも。ソールのゴムの塊がまさにバネ感を演出してくれます。
その他のホイールに関する考察
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